大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和25(あ)2367 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人野田底司の上告趣意について。

控訴趣意書提出期間経過後に提出された控訴趣意書は、控訴裁判所が、その遅延

をやむを得ない事情に基くものと認め、これを期間内に差し出されたものとして審

判する場合のほか、控訴審の必要的な調査判断の対象となるものでないことは、刑

訴三七六条、三九二条、刑訴規則二三八条等に徴して明らかであり、また、すでに

控訴趣意書提出期間内に被告人のための控訴趣意書が提出されている以上、被告人

のための別の控訴趣意書が期間経過後に提出されたからといつて、刑訴三八六条一

項一号により控訴棄却の決定をなしえないことも、あまりに明白である。所論前段

は、右の二点について刑訴法上反対に解すべきであるということを前提として、原

判決が不法に弁護権を制限し、憲法三七条三項に違反すると主張するのであるから、

すでにその前提において明かに刑訴四〇五条に当らないばかりでなく、何等の違法

も認められない。

また所論後段は、原判決が被告人に実刑を科したことを非難するものであるから、

明らかに刑訴四〇五条所定の上告理由にあたらないし、なお記録を調べても本件に

ついて刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて、同四一四条、三八六条一項三号に従い、裁判官全員一致の意見で主文の

とおり決定する。

昭和二六年六月二一日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 齋 藤 悠 輔

裁判官 澤 田 竹 治 郎

- 1 -

裁判官 眞 野 毅

裁判官 岩 松 三 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!